【消費税ってなんだ?】④簡易課税について
それでは、また次回まで💛
この週末はフジロックですね!!行きたいなぁ・・・と言いながら、毎年Youtubeの配信にかじりついてきます。コロナ禍でライブから足が遠のいて久しいので、配信とはいえ、生の音楽を聴けるのは幸せです。一方で、息子が楽しみにしていたYOASOBIが出演中止になっていたり、コロナの影響が大きいのも感じます。早く大声を出してライブを楽しめる日が来るのを心待ちにしています😢
さて、今日のブログは【消費税ってなんだ?】シリーズの4回目。このシリーズでは、スモールビジネス経営者の皆さんに身近でありながら、難しいと感じる消費税について、わかりやすく説明して行きます。今回は簡易課税についてです。
【消費税ってなんだ?】①消費税は誰が納める?
【消費税ってなんだ?】②消費税は還付されることもある??
【消費税ってなんだ?】③消費税が納税されるまで・・
「簡易課税」ってなんだ?
簡易課税ってよく聞くけれど、簡単なの?
簡易課税はその名の通り、消費税計算を「簡易」に行う為の制度です。ただし、小規模な事業者だけが使えます。
消費税の申告は、帳簿をつけたり、領収書を保存したり、とかく手間がかかります。でも、以前のブログで解説した通り、基準期間(≒2年前の事業年度)の売上金額が1000万円を超えた場合には、例外なく消費税の申告が必要となります。
でも、小規模な事業者には、十分な経理リソースがありません。そのような事業者の皆さんの事務負担に配慮をして設けられたのが簡易課税制度です。では、簡易課税制度を使う場合と使わない場合で、どの様に事務負担が変わるでしょうか。
本則課税 | 簡易課税 | |
---|---|---|
売上金額の集計 | いる | いる |
仕入、経費の帳簿作成 | いる | いらない |
仕入、経費の領収書等の保存 | いる | いらない |
課税方法選択の届出 | いらない | いる |
簡易課税制度を使うことにした場合は、売上金額の集計だけを行えば、仕入、経費について消費税法に従った帳簿付けは不要となります。
とはいえ、法人税、所得税については全ての事業者は何等かの帳簿付けが必要となりますので、あくまでも「消費税法に従った」部分のみが不要となることに注意が必要です。また、領収書や請求書についても、消費税については保存は不要ですが、税務関係書類に該当するので、法人税法や所得税法に従った年数の保存は必要です。
簡易課税制度を受けるには?
ふうん。領収書や請求書は取っておかなくてはいけないけれど、帳簿付けが楽になるのはいいね。
そうですね。でも、簡易課税制度を使うためには、いくつかの要件があります。
簡易課税制度は、原則的な計算方法ではないため、いくつかの条件を満たさないと利用できません。
簡易課税制度を受けるための要件
- 基準期間の課税売上高が5000万円以下であること。
- 「消費税簡易課税制度選択届出書」を、簡易課税を適用したい課税期間が開始する前に提出すること。
まず、簡易課税を適用するためには、「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出する必要があります。簡易課税を適用したい課税期間の開始する前に提出をしなければならないので、課税期間の途中で「原則でやろうと思ったけれど、大変だから簡易課税制度を使おう!!」って思っても、急に適用はできません。
※免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日の期間にインボイス登録をした場合には、簡易課税制度選択届出書の提出期限は柔軟化されます。詳しくは、国税庁のHPをご覧ください。
また、基準期間(≒2年前)の課税売上高が5000万円以下である必要があります。つまり、この届出書を提出しても、基準期間の課税売上高が5000万円を超えたら、簡易課税は使えないので注意が必要です。
この届出書を提出した場合は、基準期間の課税売上高が5000万円以下の場合は取消届を提出するまで簡易課税制度が強制適用されます。
簡易課税制度の計算方法
届出が大事なんだね。じゃ、計算方法はどうなるの?
簡易課税では、売上を業種毎に6つに区分して、「みなし仕入れ率」を掛けて仕入控除税額を計算します。
原則的な計算方法では、売上にかかる消費税から、その課税期間中に実際に仕入や経費を払った際に支払った消費税額を引いて、納税額を計算します。
簡易課税制度では、実際に支払った消費税額を集計せずに、決められた「みなし仕入れ率」を使って、仕入控除税額を計算することになります。みなし仕入れ率は、売上の業種によって決められています。
事業区分 | 業種 | みなし 仕入れ率 | 該当する事業 |
第一種 | 卸売業 | 90% | 卸売業 |
第二種 | 小売業 | 80% | 小売業 |
第三種 | 製造業等 | 70% | 農業、林業、漁業、建設業、製造業 |
第四種 | その他の 事業 | 60% | 飲食店業、第1-3、5-6種に該当しない事業 |
第五種 | サービス 業 | 50% | 運輸通信業、保険料、サービス業 |
第六種 | 不動産業 | 40% | 不動産業 |
例えば、卸売業の人がその年に1000万円の売り上げを上げて、100万円の消費税を受領し、消費税を申告する場合には、以下のようになります。
売上に係る消費税 1,000,000円
仕入控除税額 1,000,000円×90%(卸売業)=900,000円
納税額 1,000,000円ー900,000円=100,000円
簡易課税制度のデメリット
僕みたいに、カフェだけやっている人は簡単に計算できそうだね。
そうですね。でも、メリットだけでなく、デメリットもあります。
簡易課税制度は、確かに簡単に計算ができるメリットがあります。でも、デメリットもあるので適用の有無を検討する場合には注意が必要です。
- 必ず納税になる!
消費税は、「預かった消費税額 - 払った消費税額」で計算するため、払った消費税額が預かった消費税額を上回る場合には、消費税が還付されます。※詳しくは「【消費税ってなんだ?】②消費税は還付されることもある??」参照
簡易課税制度では、預かった消費税額にみなし仕入れ率を掛けて「払った消費税額」に相当する金額を計算するので、必ず納税となります。 - 簡易課税制度を取りやめる届出書を提出するまで強制適用される。
簡易課税制度をスタートしたら、取りやめる旨の届出書(消費税簡易課税制度選択不適用届出)を提出するまで強制適用されます。過去に簡易課税制度の選択届出書を提出したことを忘れて、売上が5000万円を下回った場合に本則課税で申告をすると、税務署から指摘を受けることになります。
売上が下降していく局面では、事業が赤字になって消費税が還付になる場合も多いです。そういう時に、還付を受けられないということになるので、簡易課税制度が不要になったら忘れずに不適用届出書を提出するようにしましょう。 - すぐにやめられない。
簡易課税制度の適用を受けた場合には、2年間はやめることはできません。最初の年は簡易課税でメリットがあっても、翌年に大きな設備投資が必要となった場合も、簡易課税制度が強制適用されることになるので、還付を受けることができなくなります。
また、消費税簡易課税制度選択不適用届出は、簡易課税制度をやめようとする年が始まる前に提出しなくてはならないので、急にやめる、ということもできません。
このように、簡易課税制度は「簡易」とついてはいるものの、メリットデメリットのある制度で複雑です。適用すべきか迷った場合には、税理士に相談することをお勧めします。
それでは、また次回まで💛
まとめ
- 簡易課税は基準期間売上高(≒2年前の売上高)が5000万円以下の事業者が使える制度です。
- 適用には簡易課税制度選択届出書の提出が必要です。
- 簡易課税制度を適用した場合、消費税の還付は受けられなくなります。
税法上の取扱いにおいて、期間や期限は厳密に定められております。本ブログでは制度についてのざっくりとした理解を目的としているため、詳細な期間や期限はあえて表記しておりません。実際の届出の際には、税法上の正確な期間や期限を必ず確認してください。
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