源泉所得税ってなんだ?
こんにちは。杉並区方南町の税理士、澤田祐子です。
今日は梅雨明けのような暑さですね💦いよいよ夏支度を・・と思い、接触冷感のカーペットに模様替えをしました。これでニャンズの肉球もひんやりして気持ちいいかなぁ・・と思っているのですが、部屋の様子が変わったことで落ち着かない様子。早くひんやりを感じて欲しいところです。
さて、今日のブログは源泉所得税についてです。7月10日は、源泉所得税の納期の特例を適用している方の納付期限です。ということで、源泉所得税の仕組みについて、確認をしておきましょう。
預かって、収める。それが源泉所得税です。
7月と1月に、「源泉所得税の納付期限です。」って言われるけど、ふわっとしか理解していないんだよね。
源泉所得税は、事業者が給料や報酬を払うときに、報酬を「払う人」があらかじめ所得税を預かり、報酬を「もらう人」に代わって納税を行う制度です。
日本の源泉所得税の歴史は戦前にまでさかのぼります。昭和初期、工業地帯が大都市圏に増え、多くの人が工場や会社で働く給与所得者となり、所得税を納める人が増えました。それに伴い、滞納する人も増えることとなります。それに対応して、滞納を未然に防止したり、個人の所得を捕捉するために、源泉徴収制度が導入されました。
(国税庁租税資料/3 源泉徴収制度の導入―昭和時代― https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/sozei/tokubetsu/h26shiryoukan/03.htm)
また、源泉徴収制度は、日本だけでなく、海外でも取り入れられています。
さて、源泉徴収とは、👆の会話の通り、給与や報酬や利息、配当などの、所得税法で決められた給与や報酬などを払う時に、払う金額の一部を「払う人」が預かり、「もらう人」に代わって納税をする制度です。
源泉徴収の仕組み
僕は従業員に給与を払う時に源泉所得税を預かっているけれど、従業員は手取りが減って嫌なんじゃないかな?
給料をもらう時の手取りは減るけれど、年末調整で調整されるから同じですよ。
源泉徴収は👆の通り、あらかじめ報酬や給与を「もらう人」が納税すべき所得税の「前払い」の様な役割を果たします。
源泉所得税の仕組み
1/25 給与を支給する。
給与 100,000円 源泉所得税 5,000円 手取り 95,000円
1/25 給与をもらう。銀行に95,000円入金された。
7/10 預かった5,000円を納税する。
12/25 年末調整。
一年間の所得税額は2,000円と計算された。源泉徴収で5,000円支払済なので、3,000円還付される。
このように、会社が従業員の代わりに納税を行いますが、従業員の一年間の所得税額は源泉徴収のある、なしで変わりません。
なので、確定申告や年末調整で計算された一年間の所得税額と、すでに源泉徴収された金額を比べて、源泉徴収された金額の方が多ければ、還付され、少なければ追加で所得税を支払うことになります。
一方、この場合、100,000円の給与を従業員に95,000円、納税として5,000円を支払うので、会社にとっても損得はありません。
「源泉徴収義務者」の責任
源泉徴収される従業員にとっては、プラスマイナスゼロなのはわかったよ。でも、僕たち経営者にとっては面倒だなぁ。
面倒かも知れませんが、ハテナさんは法律で決まっている「源泉徴収義務者」です。面倒だからと言って納税を行わないと、延滞税などのペナルティが課されます。
源泉徴収制度は、経営者にとっては面倒な制度かも知れません。従業員が自分で確定申告をして、納税をしてくれればその方が楽・・・ではあります。でも、この制度は「所得税法」という法律で定められた制度です。
第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等の支払をする者その他第四編第一章から第六章まで(源泉徴収)に規定する支払をする者は、この法律により、その支払に係る金額につき源泉徴収をする義務がある。
所得税法6条 源泉徴収義務者
この様に、法律では「義務」とされているので、従業員が嫌がるから・・とか、面倒だから・・という理由で源泉徴収を行わない、ということは法律違反になるのでできません。所得税法で決められた報酬や給与を払う時には、法律に従って源泉徴収を必ず行うようにしましょう。
例えば、税務調査などでは、源泉徴収をするべき報酬や給与の支払いがあった場合に、適正に源泉徴収をされているか、確認をされることがあります。本来源泉徴収をするべき人から徴収していない場合には、源泉徴収義務者である会社に延滞税などのペナルティが課されることとなります。
すでに該当の従業員が辞めてしまっていたりすると、その従業員から源泉所得税を「預かる」ことができないので、会社がその分の源泉所得税を負担しなくてはならない、ということにもなってしまいます。
ですので、源泉徴収義務者としての責任は重いものです。きちんと計算して納税を行いましょう。
それでは、次回まで💛
まとめ
- 源泉徴収義務は、所得税法に定められた義務です。
- 預かった源泉所得税は、必ず納税をしましょう。
- 従業員や報酬を「もらう人」にとっては、所得税の前払いのような位置づけになります。
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