年末調整ってなんだ?①~計算から法定調書合計表まで~
こんにちは。杉並区方南町の税理士、澤田祐子です。
すっかり空気がひんやりして来て、秋めいて来ました。10月に入り、遅い夏休みを取って北海道に旅行に行って来ました。東京はまだ半そでで過ごしていたのですが、北海道はもう上着を着る季節。大雪の初冠雪というニュースも流れてきて、良い季節の旅行になり、リフレッシュできました。
さて、そんなこんなで今年も残り3か月。いよいよ年末調整シーズンに入ります。今日のブログはまず、年末調整の流れについてまとめます。
①従業員の税額の確定作業
年末調整って、従業員の年収と所得税額を確定させるんでしょ?
その通り。従業員の所得税額を確定させ、すでに預かった所得税との差額を調整します。
従業員の給与計算を行う時、社会保険や源泉所得税の金額を計算し、額面金額から引いた手取り金額を計算します。この時控除した源泉所得税は、従業員が自ら納税するべき所得税額を、会社が一旦預かって、従業員の代わりに国に納税しています。
年末調整では、一年間に従業員がもらった給与を集計し、年間ベースで所得税額を再計算します。その際に、給与では加味しなかった、生命保険料控除や住宅ローン控除などの各種控除を加味して、最終的なその人の年間所得税額を計算します。
年間所得税額が毎月の給与から控除した源泉所得税額より多い場合には、多い分を従業員に還付し、少ない場合は徴収します。
②源泉徴収票の発行
なるほど!それでカチっと決まった給与金額や所得税額を書いた源泉徴収票を渡すんだ。
源泉徴収票の発行は、給与を支払った全ての事業主に義務づけられています。
年末調整を行い、従業員の給与、所得税額が確定したら、かならず源泉徴収票を発行して、翌年1月31日までに従業員に渡しましょう。これは所得税法で義務付けられています。
なお、アルバイトやすぐにやめてしまった従業員にも、源泉徴収票を交付しなければなりません。アルバイトには渡していない、という事業主さんを時々見かけますので、必ず渡すようにしたいですね。
③法定調書と法定調書合計表の提出
法定調書合計表を作るってJulesは言っていたけれど、それは何?
源泉徴収票は「法定調書」と言って、税務署への提出が義務付けられています。提出時に提出内容をまとめたものを「法定調書合計表」と言います。
法定調書は、源泉徴収票だけでなく、家賃や地代を払った場合や、税理士や弁護士などに報酬を払った場合に作成する支払調書など、実はいろいろな種類のものがあります。
法定調書合計表は、これらの法定調書のサマリーを記載し、税務署に報告を行うものです。
法定調書合計表は、所得税法により提出が義務づけられている書類です。法定調書合計表に関する税務調査もありますので、必ず提出するようにしましょう。
なお、法定調書合計表の提出期限は、その年の翌年1月31日です。
④給与支払報告書の提出
従業員の住んでいる自治体にも、源泉徴収票を提出するんだよね。
給与支払報告書を従業員の住んでいる自治体に提出しないと、従業員の住民税の計算ができません。
税務署には法定調書合計表の提出が必要ですが、従業員が住んでいる自治体へも、給与支払報告書の提出が必要です。
源泉徴収票と同じ内容の「給与支払報告書」を、従業員が住んでいる自治体へ提出します。最近は電子申告で提出ができるようになりましたが、昔は自治体ごとに住んでいる従業員の源泉徴収票をまとめて、封筒に入れて提出していたので、かなり業務負担が大きい作業でした。
とはいえ、電子申告のために、自治体を登録したり、情報の精査をしたりと時間がかかります。早めに準備して、提出期限の翌年1月31日までに提出できるようにしたいですね。
なお、給与支払報告書に記載されている情報を元に従業員の翌年の住民税の計算が行われます。提出がない場合、住民税が正しく課税されないこととなりますので、必ず提出しましょう。
年末調整作業は10月頃から翌年1月末まで、長期間に行う業務です。スケジュールをしっかり立てて、ミスなく行いたいですね。
まとめ
- 年末調整は従業員の所得税を確定させる作業です。
- 源泉徴収票作成だけでなく、法定調書合計表作成まで行う必要があります。
- 給与支払報告書は従業員の住民税計算の基礎となります。
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