減価償却ってなんだ?

Washing machine station

こんにちは。杉並区方南町の税理士、澤田祐子です。

8月が終わり、9月に入りました。9月は「秋」のはずですが、まだまだ暑い日が続きそうです。
毎年私は「税務ディベート」の会に参加しています。税理士有志の仲間と共に、10月に大学生と税務をテーマにしたディベートを行います。大学生とはいえ、法学部の3年生。しっかり勉強して税理士にガチで挑んで来るので、私たちもしっかり準備しないと負けてしまいます💦
そんなディベートの準備が今年も開始しました。今年のテーマは減価償却。そこで、今回はブログで減価償却の基本についてまとめたいと思います。

固定資産は一回で費用計上しません。

ハテナさん
ハテナさん

この間、オーブンが壊れちゃって入れ替えたんだけど、100万円位しちゃった。

10万円以上の資産は固定資産に該当するので、買った年に全額を費用に入れられないですね。

税理士Jules
税理士Jules

事業を行っていると、パソコンや機械など、10万円以上の物品を購入することがあります。その場合は、購入金額を買った年の費用に全額計上することはできません。10万円以上の物品は「固定資産」に該当し、その資産を使っていく期間に応じて、少しずつ費用に計上していくことになります。
この、少しずつ費用に計上していくことを「減価償却」と言います。
※棚卸資産に該当する場合は、減価償却を行いません。

減価償却は使っている期間の損益を正しく計算するためのもの

ハテナさん
ハテナさん

ええ?今年利益が出そうだったのに、全額費用にいれちゃダメなんだ💦

オーブンは来年も再来年も使います。その分は来年、再来年の収益と対応させます。

税理士Jules
税理士Jules

その年の損益を正確に計算するためには、その固定資産を使ったことによる費用を毎年きちんと計上する必要があります。簡単な数字で確認しましょう。

●資産購入

  • 初期コスト: 1,000,000円(資産の購入価格)

●減価償却

  • 耐用年数: 5年
  • 減価償却費: 1,000,000円 ÷ 5年 = 200,000円/年

●年ごとの収益

  • 年ごとの収益: 毎年500,000円

購入年に全額費用計上する場合

収入減価償却費損益
1年目500,0001,000,000-500,000
2年目500,0000500,000
3年目500,0000500,000
4年目500,0000500,000
5年目500,0000500,000

減価償却をする場合

収入減価償却費損益
1年目500,000200,000300,000
2年目500,000200,000300,000
3年目500,000200,000300,000
4年目500,000200,000300,000
5年目500,000200,000300,000

個人事業主は強制償却!

ハテナさん
ハテナさん

確かに、オーブンは来年も再来年も使うものだから、その分の費用を毎年計上するとなると、合点がいくね。

買った年だけのコストではないですからね。あと、個人事業主は必ず減価償却をしなくてはなりません。

税理士Jules
税理士Jules

数字を見ていくと、イメージがつかみやすいと思います。👆のモデルだと、最初の年の損益はマイナス50万円となり、2年目以降は費用が計上されません。でも、減価償却をする場合は、毎年200,000円の費用が計上され、損益は+300,000円を毎年計上します。
固定資産は一定期間使うことによって、少しずつ機能が減少していきます。そして、最終的には使えなくなり、新しい資産に入れ替えを行うことになります。減価償却はその入れ替えまでの期間を通じて、少しずつその購入費用を計上していくための会計処理です。

固定資産の入れ替えまでの期間のことを「耐用年数」と言います。ただし、耐用年数は原則として、任意の年数は使わず、「法定耐用年数」を使います。固定資産毎に、標準的な耐用年数が法律で定められており、その年数を使って少しずつ費用に計上していくことになります。

なお、法人は減価償却費の計上は任意ですが、個人の場合は強制償却とされています。確定申告の際は、減価償却費を正しく計算し、忘れずに費用または必要経費に計上するようにしましょう。

それでは、また次回まで💛

まとめ

  • 減価償却は毎年の正しい損益を計算するための会計処理です。
  • 10万円以上の物品の購入は、固定資産になります。耐用年数を調べましょう。
  • 個人は強制償却です。忘れずに減価償却費を計上しましょう。

税法上の取扱いにおいて、期間や期限は厳密に定められております。本ブログでは制度についてのざっくりとした理解を目的としているため、詳細な期間や期限はあえて表記しておりません。実際の届出の際には、税法上の正確な期間や期限を必ず確認してください。

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