純資産の部は奥深い!

今日は久しぶりに研修に行って来ました!会場での研修会は2年ぶり?
やっぱり会場研修は良いですね。ZOOMだと、3時間の長丁場だと眠くなっちゃったり、違う事を調べ始めちゃったりして、あまり頭に入っていなかった・・・って事も多く💦

今日の研修会は、私が所属している全国女性税理士連盟(会員募集中!)という士業団体の研修会でした。講師は太田達也先生!3時間が短い!と思えるくらいとてもわかりやすく純資産の部について説明してくださいました。
自分の定着のために、ざっとブログにまとめて行きたいと思います。

純資産の部の会計と税務

会社法上の「純資産の部」と法人税法上の資本概念は一致していない。その為、資本取引が生じた場合に、留意すべき点がある。

<法人税法上の資本概念>
資本金等の額→株主からの払込資本
利益積立金額→払込資本の運用により稼得された留保利益

<会社法上の資本概念>
資本金、資本剰余金→資本金、資本準備金、その他資本剰余金
利益剰余金→利益準備金、その他利益剰余金

例えば、法人税法上の資本金等の額は、株主からの払込資本であるため、資本金による欠損てん補や利益剰余金の資本組入れ(無償増資)の場合には、会計上の資本金、資本剰余金に移動があっても、法人税法上の資本金等の額に移動は生じない。
この様な場合の別表5-1の記載には注意が必要となる。

増資の会計・税務

増資とは新株発行の事を言い、新株発行の対価として金銭または金銭以外の資産の払込が行われる。株主総会の決議が必要で、金銭等の払込額の1/2を超えない範囲であれば資本金として計上しないことができる。

登録免許税の節減を目的としたり、今後の資本取引の柔軟化を目的に、全額を資本金に組み入れず、資本準備金に積み立てることもできる。

増資は効力発生日に資本金の増加を認識する。無償増資についても、効力発生日以後に到来する決算期より、BSに資本金の増加が反映される。

法人税法上は、金銭等の払込がある増資であれば、払込金額について、会計上資本準備金の積み立てがあったとしても、一括して資本金等の額の増加を認識することになる。

一方、無償増資は株主からの金銭等の払込がないことから、法人税法上は何の移動もなかったものとして取り扱われる。

地方税法上は注意が必要である。金銭等の出資による増資があった場合には、法人税法上の資本金等の増加があるため、均等割りの負担が増える場合がある。

また、無償増資については、H27年改正により、均等割りの算定上、法人税法上の資本金等の額に無償増資の額を加算することとなった。従って、この改正により無償増資であっても均等割りの負担が増える可能性がある。

減資の会計・税務

減資とは、資本金等の減少のことである。
減資には、株主総会の特別決議が必要であり、その手続きには債権者保護手続きとして、官報公告および催告(官報公告と電子公告を両方行う場合は催告は省略が可能)が必要である。

会社法上、「有償減資」というものはなく、減資をして株主に払い戻しを行う場合は、減資をして資本金をその他資本剰余金に振替え、その上でその他資本剰余金を原資とした剰余金の配当を行うことになる。会社法上は減資と配当は別規定となるため、それぞれ別の決議が必要である。

なお、減資の決議は効力発生日の決議となる。減資の効力発生日の前に債権者保護手続きが必要となるので、効力発生日は債権者保護手続き後となるよう決議をすることとなる。減資の登記は効力発生日から二週間以内に行われるが、登記前であっても、効力発生日において資本金は動くこととなる。

減資に伴い、資本剰余金を原資とした配当を行う場合は、みなし配当が生じる場合がある。また、資本剰余金による欠損てん補を行う場合には、利益剰余金のマイナスに充当することになる。利益剰余金がプラスになるまでの欠損てん補はできないので注意する。

法人税法については、金銭の払い戻しのない欠損てん補については何も認識しない。

地方税については、法人税法上の資本金等の額に無償減資による欠損てん補額を減算して均等割りの判定を行うこととなる。

なお、資本金等の額に無償増資、減資を加算減算するのは、株式会社、特例有限会社のみである。その他の会社については加算減算は行わない。

自己株式の会計・税務

自己株式の取得は、株主が保有する株式を会社が取得し、取得の対価を株主に交付することをいう。金銭の交付が行われるため、資本の払い戻しと言われる。

株主との合意により自己株式を取得することは問題ないが、特定の株主から有利な条件で取得することは株主間の公平性に問題が生じる。また、金銭が社外に流出することから、債権者の信用に問題が生じることもある。その為、一定の規制がかかっている。

自己株式の取得については株主総会決議が必要であり、特定の株主から相対取得する場合には特別決議が必要となる。

また、債権者保護としては、自己株式の取得は分配可能額の範囲内で取得することが必要となる。自己株式の取得の結果、純資産額が300万円を下回ってはいけない。

自己株式の取得をしたら、BS上は「自己株式」として純資産の部にマイナス表示される。この自己株式は、純資産の部の各項目との対応するものではない。

法人税法上は自己株式の取得に際して交付される金銭の金額が取得資本金額を上回る場合には、みなし配当となり、源泉徴収が必要となる。


ということで、濃厚な純資産の部の世界についてまとめました。純資産の部については、もやっとした部分が自分の中でも多かったので、この研修でなるほど!!と思った部分が多かったです。でも、ここの理解は、BSを理解する上でも欠かすことはできないですね。しっかり勉強していかねば!!と思いました。
それでは、また次回まで💛

まとめ

  • 会計上の資本概念と法人税法上の資本概念には差がある。
  • 増資、減資、自己株式の取得によって法人税だけなく、地方税均等割りにも注意が必要となる。
  • 資本取引には会社法上の手続が必須である。

※このブログのご利用については「このブログのご利用について」をご確認の上、ご利用ください。